宮崎 司 著 山に生きる B6判 264頁 定価1,200円(税込) |
チョークをチェーンソーに持ち替え山に入る。 すべて我流で、まるで「ドン・キホーテのような行動」であったはずである、 「谷筋も一直線に上り、ノコ一丁を山に向かって振り回す」 山はただ沈黙し、心を開いてくれない。 ところが、道を付け出すと、前に後ろに進む方向が開けてきた。 やがて「山が見える」ところまできた。 山と私との間に信頼関係ができ始めた。山へ通うのが楽しくなる。仕事もどんどんはかどる。 山との対話が始まった、 すると不思議な想像の世界が開けた。過去の出来事が時空を超える。現実と想像の境界線も消えていく。 この世界に、私にとって縁のない万葉歌やアインシュタインさえも現れる。 断片的に思い出される万葉歌詞やアインシュタインの公式は想像の世界に一つのストーリーを生む働きをする。 それはさらに書き留める作用につながる。 反面、山で木を伐り育てる仕事は肉体を使って「生きる」ことそのものである。 木や岩、急峻な山と対峙する。一歩も引けない現実の山仕事である。 山の道具は使えば使うほど奥がある。私にとって修行のようである。 このような実際の山の現場の状況も書き留めた。 地元紙「紀勢新聞」に、随想「ヤマに生きる」の67回の掲載の機会を得た。 私の山中での私的な体験を読者に伝えることができたことは光栄でうれしいことであった。 多くの人から寄せられた感想や励ましを受け、私の心は膨らみ、さらに一冊の本にまとめたいと考えるようになった。 書式は憧れの雑誌「タイム」の一記事形式をまねた。随想形式で、できる限り文も内容も簡潔に、写真もつけることにした。 序文を書いて頂いた川崎医療福祉大学教授 長尾憲樹氏は私にとっては最大の理解者で、私の山仕事に「元気寿命」を創造する立場から陽をあて、励ましてくれた大恩人である。これほど栄誉でうれしい序文はない。 表紙文字は石倉豊先生に労をとって頂いた。竹筆文字「山」は力づよく芸術性豊かで、この書物がテーマにしている「生きる」そのものであるのは大変勇気づけられる次第である。 著者の「あとがき」より |
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